オンラインカジノブロッキングは無意味：日本は世界の流れに逆行している

2025年4月23日、日本の総務省は「オンラインカジノに係るアクセス防止のあり方」に関する検討会の第一回を開催しました。

目的は、違法ギャンブルから国民を守るために、インターネット接続事業者（ISP）に対してサイト遮断を義務付ける可能性を探ることにあります。

しかし、世界の現実を見れば、こうした試みがほとんど効果を上げていないことは明らかです。実際、韓国やオーストラリアなどの国々ではブロッキング政策が何度も失敗に終わっており、現在ではほとんどの専門家が「意味がない」と結論づけています。

それにもかかわらず、日本は未だに「遮断」という発想に固執しています。

このままでは、巨大なオンラインカジノ市場をみすみす外国に奪われるだけでなく、ユーザー保護のチャンスすら失うことになりかねません。

この記事では、ブロッキングが無意味な理由と、日本が本当に進むべき道について考えます。

本記事は、オンラインカジノのエキスパートであり、オンラインカジノおすすめ比較サイトの執筆者であるHideki Nakata氏の監修のもと作成されています。

業界に精通した視点から、日本の政策の問題点と今後目指すべき方向性について詳しく解説します。

オンラインカジノブロッキング議論の背景

討論会では、オンラインカジノが「違法」であることを前提に、そのアクセスを遮断する方針が検討されました。

背景には、国内で違法ギャンブル被害が増加しているという懸念があります。

しかし、日本国内の実態をみても、警察庁によると令和6年のオンラインカジノ関連の検挙件数はわずか227件。

一方で、利用者数は推定100万人規模に達しており、摘発は氷山の一角にすぎません。

そのため、一人一人摘発するのにはかなり無理があることから、多くのユーザーに効果があるブロッキングを検討する流れとなったのです。

しかしながら、ブロッキング政策は世界各国で試みられその無力さがすでに証明されています。

韓国のケースでは、政府が2008年から違法コンテンツに対してDNSブロッキングを実施。

しかし、VPNサービスの普及により、2018年時点で遮断対象サイトへのアクセス回避率は80%以上に達したと報告されています。

オーストラリアでも、2017年からギャンブルサイトへのブロックを導入しましたが、Australian Communications and Media Authority (ACMA)によれば、遮断対象のうち約70%がすぐにミラーサイトを立ち上げ、アクセス可能な状態に戻っているとのこと。

こうしたデータを見ても、技術的には「ブロック→回避」のイタチごっこにしかならないことは明白です。

ミラーサイトの作成は技術的に難しくなく、数時間から数日以内に複製できるため、ブロッキングは根本的な解決策にはなり得ません。

世界ではオンラインギャンブル市場を合法化＋規制管理する流れが加速しています。

たとえば、イギリスでは2005年に「ギャンブル法」を制定し、2022年にはギャンブル産業から約33億ポンド（約6200億円）もの税収を得ています（出典：UK Gambling Commission Annual Report）。

マルタ共和国は、iGaming産業（オンラインギャンブル産業）だけでGDPの約12%を占め、国の重要な収入源となっています（出典：Malta Gaming Authority Annual Report 2023）。

これに対して日本は、違法と認定し、禁止し、遮断するだけ。

産業として成長させるどころか、すべての利益を海外に流出させ、ユーザー保護の取り組みも不十分なまま放置ししている状況なのです。

日本が今、本当にすべきことは、オンラインカジノ市場を合法化し、国がしっかりと管理・監督する体制を作ることです。

これにより、ライセンス制による運営会社への規制と税収確保、ギャンブル依存症対策（自己排除制度、プレイ上限設定など）、未成年利用の徹底的な防止を実現できます。

イギリスでは、自己排除制度「GAMSTOP」の導入により、登録者数が2023年に約38万人を超え、ギャンブル依存対策に一定の効果を上げています。

日本もこうした成功事例に学び、産業と社会のバランスを取る必要があります。

オンラインカジノ問題は、単に遮断したり違法と決めつけたりするだけでは何も解決しません。現実を直視し、世界の成功例に学び、国益と国民保護の両方を実現する。日本が本当に賢い国になれるかどうか、今、その分岐点に立たされているのではないでしょうか。

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